キャリアストーリーを知るOG社会人インタビュー

夢は大きく
母国インドネシアの医療向上に貢献したい。

バレンティン シンディ VALENTINE CINDY

農学部 食品生物科学科 卒業
農学研究科 修士課程 修了
インドネシア Sutomo高等学校 出身
三洋化成工業株式会社

日本留学を目指してひたすら勉強。
インドネシアで早期卒業プログラムを採用している高校に入学したため、高校生活はわずか2年間。留学を目指すクラスに在籍し、普通であれば3年間かかるカリキュラムを2年間で終えるため、月曜日から土曜日まで学校で授業を受け、さらに週に3日は塾に通い、ひたすら勉強に打ち込みました。理系の大学に入るには、コミュニケーションの英語だけでなく、科学のことも英語で理解しなければならないため、英語の勉強も必死で頑張りました。日本留学を決めたのは、高校の先生の勧めで、文部科学省の国費外国人留学生奨学金制度を受けることになったからです。一番好きだった科目は生物学、初めて細胞の構造について習った時、「生命ってなんて神秘的なのだろう!」と感銘を受けてから、ずっと生物学の研究をやりたいと思っていました。日本語がわからないまま留学するのは不安でしたが、自分の可能性を知りたく、日本トップレベルの大学である京都大学受験に挑戦しようという気持ちになりました。高校では卒業することだけを目標に勉強していたため、勉強する目的について考えたこともありませんでしたが、京大の「自由の学風」の中で勉学に励む京大であるからこそ、「なぜ勉強をするのか」との疑問に対して答えが見つけられるのではないか、という思いもありました。そこから京大受験までの1年間は東京外国語大学で日本語を学び、授業が終わると毎日図書館にこもって閉館まで勉強しました。

「なぜ勉強するのか?」の答えを見つけた大学時代。
好きな生物学を応用することができ、人の健康に貢献できる農学部食品生物科学科へ入学しましたが、学部生の時はいろんな授業を受けるようにしていました。農学部の必須科目の他に社会学や歴史学も受講し、1回生で多くの単位取得をしたおかげで、2回生では時間に余裕ができました。河原町で友達とショッピングやランチをしたり、社会人サークルでバドミントンを楽しんだり、京大病院で厨房スタッフとしてアルバイトも始めました。衛生面では特に気を使うことが多く、先輩の指導は厳しかったですが仲間との絆も深まり、毎日がとても充実して楽しかったです。
大学院では、野菜に含まれるポリフェノール成分について研究し、ほぼ毎日を研究室で過ごしていました。しばしば実験が深夜まで延びることがあり大変でしたが、達成感を感じることも多く、楽しい思い出もたくさんできました。京大には異なるバックグラウンドを持つ人、まじめな人、ユニークな人など様々な人が在籍していたので、先生や友人との関係を築いている内に、自分の視野が広がることを実感しました。
高校の時に抱いた「なぜ勉強するのか」という疑問も、研究室の生活を通じてわかるようになった気がします。研究室では先生から知識を教えてもらい、そこからは目標を達成するために自分はどんなことを身につければいいのか、どんなことを勉強したらいいのか自主的に考えるようになったからだと思います。

責任ある仕事だからこその達成感。
人の健康に貢献したい。

三洋化成は化成品を主に作る会社ですが、医療機器や医療現場に使われる材料も作っています。化学と生物学はまったく違う分野のように思えますが、生物の機能は非常に多様で化学とも深く関わっています。三洋化成に入りたい、と思ったのは、あらゆる科学の知識を融合することで新しい技術を生み出し、世の中の豊かな環境に貢献している、という点に惹かれたからです。入社後は、高吸収性樹脂事業をマレーシアで開始するための工場立ち上げに関わり、現在は、病院やクリニックで使用される免疫検査薬の研究開発に携わっています。
昨年、同じ研究所で働く日本人男性と結婚したのですが、やはり研究者同士ということでお互いの状況が理解しやすく、研究に関する相談もできるので助かっています。この先、子どもが産まれてもしっかりと仕事と両立させたいので、会社自体が働き方改革に積極的に取り組んでいることや、子育て支援制度が充実しているという点も非常に安心です。
将来の夢は、医療機器や医療材料の研究にも関わり、新しい製品を作って母国インドネシアの医療向上に役立つこと。インドネシアも含めて、世の中の人の健康にどのように貢献できるかを考え、これからも自主的に勉強して、こつこつと努力していくのみです。

会社の大先輩、山崎さんと。

上司・同僚からの一言

黒川祐人さん
診断薬研究部部長

シンディさんは、免疫を利用した体外診断用医薬品の研究開発に携ってまだ約2年ですが、一線級の人財になりつつあります。関係者の協力を上手に得ることができますし、見えないところで多々自己研鑚していることと思います。
もう少しで担当の製品が仕上がりますが、命を下支えする製品を数多く世に出していきましょう。

~私のリフレッシュ方法~

職場の山岳部に所属しているので、休日は仲間と山登り。月に一度のイベントもとても楽しみにしています。また、年に一度両親が日本に来るときには、一緒に京都観光をして喜んでもらっています。私はまだ生魚は苦手ですが、日本には美味しいものがたくさんあるので、色んな所に連れて行ってあげたいです。平日は仕事、休日は遊び、とバランスよく過ごしてリフレッシュするために、休日は仕事のことは完全に忘れています!

こうやって勉強してました

私は苦手科目だった数学から、優先的に取り組みました。 勉強する時間がないと焦ってしまうので、時間に余裕がある時に難しい問題をじっくり解き、 理解するまで考えました。どうしてもわからない時は中断し、比較的簡単な科目に切り替えて勉強を続けました。簡単な科目で自信を取り戻してから、難しい科目に再挑戦することを繰り返しました。 また、朝のほうが頭が冴えて覚えやすいため、試験当日の朝は早起きして、暗記物を復習していました。時間と集中力をかけ、めげずにやっていけば 努力は報われます。


今、進路や将来やりたいことで悩んでいる人は少なくないと思います。私も当時そうでしたが、ひとつでもいいので心が惹かれることを見つけて、それに向けて一所懸命になってください。努力したことは自信につながり、自分の力になります。また、何事でもすぐに無理だと言わずに、まずはやってみる!という姿勢で挑戦すること。新たな視野で自分の使命が見つかるはずです。大学に入ったあとは自由が待っています。そこで好きなことを、とことん突き詰めてください。