キャリアストーリーを知るOG社会人インタビュー

やっとスタートラインに立った私
いつかは手術を精力的にこなす名医に。

藤川 詩織 FUJIKAWA SHIORI

医学部 医学科 卒業
広島県 広島大学附属中学・高等学校 出身
大阪赤十字病院

部活と研究が青春!典型的理系の高校生。
高校生活はとにかく忙しかった、としか記憶にありません。所属していた管弦楽部(担当はバイオリン)の朝練から始まり、授業をしっかり受けた後、放課後にはまた部活。それが終わると次は夜遅くまで塾で勉強、と土日まで部活・勉強漬けでした。高2からは理系クラスに所属し微生物の油脂分解酵素について研究していたこともあり、「北里柴三郎や志賀潔のような微生物学者になって新しい感染症を発見したい」と思っていました。中学生の頃から漠然と抱いていた京大受験の夢が目標へと変わったのは、自由の学風と著名な理系科学者を多く輩出している実績への憧れがあったことと、当時大好きだった生物の先生に「京大医学部に行け!」と背中を押して貰ったことがきっかけでした。ただ、成績がなかなか追いつかなかったので、京大医学部志望だとは高校を卒業するまで一度も周りに言えませんでした。現役時は微生物の研究ができる農学部を受験し、京都大学農学部資源生物科学科に入学しましたが、入学後に「ヒトの研究がしたい」という思いに改めて気がつき、仮面浪人して医学部を目指すことにしました。農学部では友達も沢山でき毎日が楽しかったので、その状況の中で周りに流されずに受験勉強を続けることは本当に大変でしたが、念願の医学部に入学するため、勉強量を一層増やしてひたすら頑張りました。

ノーベル賞受賞者が目の前に
恵まれた環境の中で、自分の夢が大きく変わる。

「天才ばかりの憧れの地」という入学前のイメージ通り、ノーベル賞を受賞した山中先生や本庶先生という著名な先生方の講義を生で受けることができたのは、本当に貴重で素晴らしい経験でした。同級生も勉強ができるだけでなく、様々なセンスを持った魅力的な人が多く、刺激を受ける毎日でした。また京大の研究室は門戸が広く、学生は自分が興味のある研究室に出入りして勉強や研究をすることができたため、私も法医学の研究室で司法解剖に携わりながら勉強していました。
部活ではESSと写真部で副部長を務めたほか、音楽部でバイオリンも続けていました。2回生までは、生協学生委員会の「受験生サポート事務局」で事務局長として受験生をサポートする活動に忙しい毎日を過ごし、さらに趣味の海外旅行をするためにラジオ局の電話受付や学習塾のバイトもしていました。そのせいか、学業面では試験前に慌てて勉強する、といった医学生としてはあまりお手本にならない生活をしていました。
そんな私を大きく変えたのは、4回生の夏に従事した糖尿病の研究と、5回生から始まった臨床実習でした。臨床実習で様々な診療科をローテーションした結果、もちろん研究には興味があって色々と考えるのは楽しいけれど、自分には考えるより手を動かすほうが性に合っていると強く感じ、医師になってバリバリ手術をこなしたいと思うようになりました。

上司の田中信三部長、先輩の中平真衣先生。

現在、初期研修医2年目
学んだことがどんどん身につく毎日。

外科系志望だったので、大学卒業後は初期研修の2年間で内科をしっかり学んでおきたいと思い、内科研修の充実している大阪赤十字病院を選びました。初期研修では2年間で様々な診療科を経験し、医師としての基本的な仕事を身につけ、最終的に自分の専門診療科を決定します。私は現在、希望していた耳鼻咽喉科・頭頚部外科に配属され、ほぼ毎日、病棟患者の回診、手術、術後の回診、すべてが終わる19時から研修医の勉強会に参加した後、翌日の準備をして帰宅しています。また、週に1回は救急当直で朝まで勤務し、土日のどちらかは病院に行って翌週の手術の予習もしています。たまの休日には友人と食事を楽しむこともありますが、今は学んだことがどんどん身についていく楽しさを感じているところで、忙しいながらも同期と和気藹々、たまに切磋琢磨しながら研修をする充実した日々を送っています。まだスタートラインに立ったばかりの段階ですが、将来たくさんの患者さんを救うため、数多くの手術をこなすことで腕を磨いていきたいと思っています。その反面、京都大学出身である以上はいつか研究にも従事しなければいけない・・・といった使命感にも燃えています。先のことはまだわかりませんが、数多い選択肢を前にしたときに一番良い選択ができるよう、日々努力しています。

上司・同僚からの一言

田中 信三さん
第一耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長

藤川さんはいつも積極的に手術に参加することで、技術と知識を伸ばそうと頑張っています。来年から耳鼻咽喉科・頭頸部外科を専攻し、我々の仲間として一緒に働きます。女医さんは徐々に増えつつあり立派に働く人も少なくありません。彼女の将来に期待しています。

~お風呂でリラックス~

今、私が一番安心できる場所はお風呂です。手術でクタクタに疲れた日、当直明けで頭がボーっとしている時、シャワーだけではなくお風呂にお湯をはって、2時間ほど半身浴をします。お湯につかりながら高級なアイスクリームや果物を食べ、こだわりの入浴剤やお気に入りのボディスクラブの香りに癒されています。

こうやって勉強してました

ひたすら問題集を解き、出来具合によって「◎・○・△・×」と印をつけて、すべての問題が◎になるまで何度も解き直す、というのが私の勉強スタイルでした。この方法で、苦手分野は7周くらいしていたと思います。京大医学部の配点と自分の得意苦手を分析して、 「英語理科で8割とれ数学は半分、国語は3割で受かる」と計画を立てていたので、模試のたびに自分の実力と目標点まで各科目どれくらいの開きがあるか考えて、それに合わせて勉強時間を配分していました。高2の夏に部活を引退するまでは1日3時間、それ以降は1日10時間くらい勉強しました。


まずは、高い目標をもって何事も挑戦してみる。周りに何と言われようと、ひたすら努力を続ける。素晴らしい先生方や魅力的な同級生に囲まれた学生生活は、本当に充実していて、京大受験を諦めないで良かったと今でも思います。皆さんも是非挑戦する気持ちを忘れず、この自由の学風に触れてみてほしいと思います。