キャリアストーリーを知るOG社会人インタビュー

新しいことは何でもチャレンジ
興味のアンテナは常に多方面に向けて。

福原 充子 FUKUHARA MITSUKO

理学部 理学科 卒業
大学院生命科学研究科 博士課程 修了
大阪府 清教学園高等学校 出身
特許業務法人 深見特許事務所

ギリギリまで自分を追い込んで挑んだ京大受験。
通っていたのは中高一貫校で、中学時代は強豪で有名ななぎなた部に所属していました。日々の厳しい練習の中では、礼を重んじる武道の教えを徹底的に叩き込まれました。高校では厳しい部活はせず、図書館に通って大好きな読書に耽る毎日でした。放課後には教科準備室で先生とおしゃべりをすることも多く、そこで大学の話を聞いては大学生活や大学での授業に対するイメージを膨らませていきました。
地元関西を離れたくないという思いがあり、せっかくなら関西のトップ校を目指したい、昔から好きだった生物をしっかり学べる理学部がある、ということで京大受験を決意。しかし、京大を目指したもののなかなか成績が追いつかず、卒業後1年間は腰を据えて勉強することにしました。女の子が勉強で身を立てることに周囲から色々と意見はありましたが、自分が決めた道を進むことに迷いはありませんでした。絶対に落ちるわけにはいかない、という状況に自分を追い込むことで成績はぐんぐん伸びてゆき、晴れて1年後に京都大学理学部に入学することができました。

多分野の学生と議論三昧
京大にはあらゆるチャンスが用意されている。

京大に入って良かったと思えたのは、おもしろい人に出会えたこと。多分野の人が集まって開かれる自主ゼミ等もあり、例えばひとつの生命現象について、分子生物学的、生態学的、人文科学的、社会学的といった様々な見方から議論が行われていました。所属の研究室でも、実験結果や話題の論文について議論できる場と人が身近にあり、研究の楽しさやおもしろさを自覚することができました。また、京大は、誰かに頼らなくても「やりたい」と強い意志をもつ学生には、あらゆるチャンスを与えてくれる場所です。私は、アルバイトをしながら複数の奨学金を利用して自力で生計を立てて大学院に進学し、博士論文を出して卒業することができました。生命科学研究科の支援を受けてフランスに短期留学できたことも有意義な経験でした。留学先では、自分から考えて行動を起こさないと誰も相手をしてくれません。上手ではない英語を駆使して、周りの研究者に質問をぶつけ、意見を交わすうちに腹が据わったように思います。そして、目的の結果を得て帰国することができたことは、非常に大きな自信となりました。一方で、大学院生の頃は、下宿と研究室を往復する生活で、気分が落ち込む時期もありました。研究室に所属していると、毎日が実験の繰り返しで、限られた人間としか顔を合わせなくなります。視野が狭くなることを避けるため、研究室以外のコミュニティと積極的に繋がりをもつことを心掛けました。知名度が低く、何かと風当たりの強い大学院生の生活や研究内容を知ってもらおうと、アウトリーチ活動を始めたのも、その頃でした。また、気分転換に始めたスキューバダイビングは、今でも趣味で続けています。

仕事の傍ら、弁理士試験に合格。
卒業後はこのまま研究者として研究を続けるか、他の仕事に就くかをずっと迷っていましたが、科学の世界が好きだという気持ちには変わりなかったので、どのような立場であっても科学に携わりたいと考えていました。ちょうどその頃、iPS細胞の特許権争いが話題になっていたこともあり、日本で素晴らしい発明をしても特許戦略的に負けかねない事実を実感し、特許を扱う仕事に興味を持ちました。特許事務所に就職した今は、企業や大学が特許権を取得し、また取得した特許権を守れるようサポートする仕事をしています。
日々の業務では、発明者が発明した技術をどのように特許権利化することが有効か、という点について法律的な視点と科学的な視点から考えています。この仕事には、新たに生まれた科学的知見を真っ先に知ることができる、というおもしろさがあります。また、自ら研究を行うのであれば、ある程度分野を絞る必要がありますが、ここではいろんな分野について、最新の科学や研究者の考えを知ることができます。現時点では、特許に関わる法律も科学技術も決して成熟した存在ではなく、過渡期にあります。その両方の変化に対応していき、これからも科学に携わる人や環境を支えていきたいと思っています。

上司・同僚からの一言

長野 篤史さん
化学バイオ部部長 弁理士

福原さんが入所してまもなく3年。その人柄と仕事に対する熱心さから、チームにもすっかり溶け込み、活躍してくれています。特許明細書の作成代理や特許取得のための諸々の手続代理など、仕事の幅も広がってきています。現在益々注目されているバイオ技術の専門知識を生かし、 知的財産法の専門家である弁理士として、さらなる活躍を期待しています。弁理士は、技術の専門知識と知的財産法の専門知識の両方を生かせる、とてもやりがいのある仕事です。これからも一緒にがんばっていきましょう。

~趣味のスキューバダイビング~

大学院生のときに、近所にあったダイビングスクールでライセンスを取りました。今も京大卒のダイバー達と、週末を利用して近場の白浜や越前に行っています。休日は勉強したり、カフェで読書して過ごすことも多いですが、スキューバダイビングは最高のリフレッシュ。海の中で自分を解放することで、自分らしさを取り戻すことができています。

こうやって勉強してました

生物と化学は、どのページのどの位置に何が書いてあったか、という所まで覚えるほど1冊の便覧集を繰り返し学習しました。数学は、応用が苦手という意識があったので基本的な問題集を繰り返しました。国語は、一文一文の意味を考えながら丁寧に文章を読むことを心掛けました。受験勉強とは、大学に受かるための一つのツールに過ぎないかもしれません。ですが、勉強した結果、知識が増えたり、物事を考える力をつけた人の人生は、きっと面白くなるはずだと思っています。


それぞれの環境によるのかもしれませんが、私は「女の子はそんなに勉強できなくてもいい」、「家庭に入りやすい仕事に就いたほうがいい」等と言われることがありました。科学を突き詰めてみたいと考えていた自分にとっては悔しさもありましたが、目標を決めて邁進しているうちに、認めてくれる人に出会えて学生時代を乗り越えることができました。頑張っていれば、自分を認めて応援してくれる人が現れます。ひるまず貪欲に突き進んでみてください。