キャリアストーリーを知るOG社会人インタビュー

いろいろ挑戦できる今が幸せ
「人が好き」が私のエネルギー

名護谷 希慧 NAGOYA Kie

教育学部 教育科学科 卒業
山口県 山口高等学校 出身
テレビ愛媛 報道制作局 アナウンス部

人前に出るのが苦手だけど好き。
それが私の出発点

現在、私はニュース番組でキャスターを務めていますが、昔は人前で堂々と上手に話すのが苦手、というコンプレックスを抱いていました。実は今も得意ではないのですが、当時は授業でも当てられたくなくて、できるだけ先生と目を合わせないようにさえしていたほどです。そのためか、昔から「人前で話ができる人」に憧れを抱いていました。
最初の転機は中学生の頃です。生徒会に入っていたのですが、文化祭の時に大勢の生徒の前で司会をすることになりました。その時、たったひと言で盛り上がったり、逆に静まり返ったりしたことで、言葉の魅力、人前で話すことの面白さを感じたのです。「人前に出るのは苦手だけど好き」。そんな矛盾する気持ちを持ったことを覚えています。
高校に入ってからは、バドミントン部に所属しながら、文化祭の実行委員を務めました。1年生の時は先生に割りふられたからでしたが、その活動はとても楽しく、この時に「人が好き。人と関わりたい」という私の根本に気づくことができたように思います。だから2年生の時も、受験を控えた3年生の時も、実行委員会に入ることにしました。

部活や委員会と勉強の両立。
焦りが原動力になった

委員会に部活にと楽しい高校生活を送っていましたが、当然、受験は待ってはくれません。私が京大を志望するようになったのは高校2年生の頃です。母が京都の大学出身だった影響で、私も京都に住むことを希望していたのですが、その頃はきちんと調べておらず、今思えば怖いことに「知っている京都の大学=京大」だったのです。教育学部を選んだ理由は、「人が好き」という私の志向にあっていたから。教育学部は人数が少なくて、60人ほどしかいません。そのため、学生同士が仲良く関係が近しいという点、それに加えて、人の根幹をなす「教育」という学問の中で心理学が学べるという点に惹かれました。
3年生の夏休みは文化祭の準備をしながら、勉強に励む同級生を横目に見てすごく焦りました。「私は受験勉強をせずに楽しんでいる」。しかし、私にはそのジレンマを感じる時期があって良かったのかもしれません。別のことをしていたからこそ、勉強も煮詰まることなく全体的な心のバランスが取れ、追い込まれた結果、帰宅してから勉強に集中できたのです。

優等生ポジションから脱却。
学部で刻んだ楽しい思い出

京大に入学して感じた素晴らしい点は、日本を代表する先生方から直接、当たり前のように教えてもらえる環境と、面白い人がいっぱいいることでしょうか。それまでの私は優等生的なポジションで、常に選択肢を狭めないことを心がけていました。だから将来の明確な目標もない反面、苦手科目もありませんでした。しかし、京大では自分で自由に好きなことができます。周りを見れば、皆が思うままにやりたいことをやっていて、私も「肩肘張らずにそのままの自分で頑張ろう」と思えました。振り返れば、本当の意味で自分で判断して選択するということが身についたのは、京大に入ってからかもしれません。
大学時代の一番の思い出は学園祭です。教育学部は事前の情報通り本当に仲が良く、京大の学園祭と同じ日に、毎年勝手に「教育学部祭」というものを開催しています。1回生から4回生、院生まで集まり、ステージを立てて屋台も出し、卒業生も「ココが私の帰る場所! 」と、顔を見せに来てくれます。最終日には皆が感涙するほどで、もっと人が好きになりました。濃密な4年間だったと思います。

「ありがとう」が喜び。
興味を持つきっかけになりたい

アナウンサーという職業は、憧れだった人前で話をするということ、そして人と関わりたいという思いが重なった、私の理想の仕事です。テレビ愛媛は局としての規模は小さいですが、その分、企画からアポ取り、取材、原稿の書き起こし、最後に伝えるところまで、トータルで任せてもらえます。さらに携わる一人一人の顔が見える環境なので、大学時代のような仲間との濃密な時間も実感することができます。ご縁が得られて幸せに思いますし、すごくやりがいを感じています。
情報で溢れている現代社会においては、インターネットの場合、自分で知りたいことを選択してから世界が広がります。しかし、テレビの場合は、電源をつければ関心のないことでも目や耳に飛び込んでくるため、そこで新しいものを知ったり、興味を持つきっかけになったりすることがあると思います。テレビの仕事を志したのは、その「きっかけ」の部分になれたら面白いだろうな、というのが一つの理由です。感想や問い合わせが寄せられたり、取材した方から「伝えてくれてありがとう」と言われたりした時が、今、一番嬉しいです。

上司・同僚からの一言

堀本直克さん
テレビ愛媛 報道制作局 アナウンス部 部長・アナウンサー

名護谷さんは芯が強くて、自分のスタンスがブレない。だから1 年目の2月からニュースキャスターに抜擢しました。彼女の得意 技は、初対面の人から端的にいい言葉を引き出してくること。 それはきっと、人にすごく興味を持っているからだと思います。

より届く言葉を選ぶ

その時々にふさわしい言葉を紡ぐ人間になる、というのが私の目標です。これから結婚したり、やがて母親になったりしたら、きっと今と考え方も変わると思います。その中で、同じ立場の人により届く発信をしていきたいですし、そのために適切な言葉の選び方をしていきたいですね。だからまずはいろんなものに対してアンテナを張って見識を深めること! どんどん挑戦しながら経験値を積んでいきたいと思っています。

こうやって勉強してました

“受験のための勉強”ができる人もいますが、私はそれができるタイプではありませんでした。授業を受けたらそれを覚えるという形で取り組んでいたので、学校のテストはそれなりに好成績でした。時期にもよりますが、最終的に行っていたのは、過去問や学校で渡された受験の想定問題をひたすら解くことです。午前0時には寝ると決めて、毎日3~4時間は机の前。後半には、問題を見れば答えがパッと書けるぐらいまで、繰り返し同じ問題集と向き合っていました 。時間をかけて繰り返しやって、しっかり寝て定着させる。そんなスタイルで勉強していましたね。塾にも入っていましたが、私は基本的に家派。ほとんど家で勉強して、分からない部分を聞きに行くぐらいの形でした。


今を楽しんでください。高校と大学では経験できることが違います。高校生活が受験勉強一色になって、あとあと後悔するのはもったいないと思います。楽しいことはしながら、勉強もトコトン一生懸命やってください。大変だと思いますが、それも今だけ、高校生の時にしかできないことです。京大は楽しい大学です。絶対にやるだけの価値はあります。