キャリアストーリーを知るOG社会人インタビュー

いちど決めたら一直線!熱意がひらいた教育の最前線での日々

冨田 一葉 TOMITA HITOHA

教育学部 卒業
福井県 藤島高等学校 出身
文部科学省

 教師の両親の影響か、中学生のころから学校教育への関心が高かったです。「なぜ、いまのカリキュラムがつくられたのだろう」、「学校の先生になりたいけれど、どういう先生がよい先生なのだろう」。「どうして?」を考えることが好きで、高校では先生を相手に、学校教育やカリキュラムに関する疑問をよく投げかけていました。いま思うとかなり漠然とした問いばかりで、付き合ってくれた先生には感謝しかないのですが、そのなかで、「京都大学なら、こうした内容を自由に議論できる環境があるよ」と先生に教えていただいたのです。
 教育学部の教育内容を調べると、私の興味にぴったり。「ならば、京大に行くしかない」と、そこからはまっしぐら。もう京大に入ることしか考えられなくて、片道2時間の通学時間をいかして受験勉強に励みました。

多様な人たちの声にふれた大学時代
 大学入学後も一貫して、興味・関心の中心にあったのは「教育」。でも、そのときどきの心に浮かぶ疑問に導かれ、テーマは移り変わりました。とくに掘り下げて考えたのは、いわゆる多数派ではないとされる人たちに教育がどう関わるのかということ。発達障害をもつ子どもたちが通う「放課後等デイサービス」でアルバイトをしたり、非行少年の更生保護の活動にボランティアとして関わったり、たくさんの経験を積みました。学業面でも、長崎県の離島にある小学校でのフィールドワークや、外国人学校と行政との関係についての研究など、関心があることにはつぎつぎに手を出していった学生時代でした。
 そうした経験のどれもが、いまの私にしっかりと根づいています。文部科学省での仕事は、国や社会の動きをつねに意識することが必要です。一方で、私たちの仕事の先に現場があり、社会を構成する個人がいること、そしてそのなかには私が出会ってきたような多様な人たちがいる。このことは、いまも強く意識しますし、忘れないようにと心に留めています。

旅行が好きで長期休暇ではよく海外に行っていました

充実感にあふれた憧れの職場での毎日
 大学入試と同様に、就職活動でも目標に向かって一直線でした(笑)。文科省は、日本の教育施策の舵をとる最前線。この場所で力を発揮したいと、文科省職員の方にお話を訊いたり、みずからの教育への思いと向きあってとことん言葉にしたり、「かならず内定をつかみとる!」と自身を鼓舞し、人一倍の熱量で就職活動に臨みました。
 憧れの場所に入省して2年がたちますが、いまはとにかく経験を蓄えている最中。文科省の所轄は教育だけでなく、科学技術やスポーツ・文化の振興など多様です。現在は、科学技術施策に携わる部署に所属し、国会対応や予算獲得に向けた総合調整などを担当しています。まだまだ聞き慣れない用語も多いのですが、新しい知識にふれるワクワクで日々、充実しています。私たちの仕事はよくもわるくも世間から注目され、動きがあればすぐにニュースや新聞記事で報道されます。責任も感じますが、一方で最前線の議論に接することができるやりがいは大きいです。

教育施策のさきに見つめる理想の社会
 教育の魅力は、個人の内面を伸ばして育てるという役割にとどまらず、それが社会をつくることにもつながること。科学技術、スポーツ、文化どの分野でもそうですが、施策の先にどんな社会や未来を望むのかというビジョンを描くことも重要です。その過程に正解はなく、議論を重ねながら黒か白かではない「グレー」をめざす営みだと私は考えています。
 私がめざすのは、だれもが自分らしく生きられる社会。大学時代に出会った多様な人たちもふくめて、どんな人でもみずから人生を選択し、成長できる社会になってほしい。私にできることを考えながら、これからも邁進したいです。

休日の過ごし方

忙しい日々だからこそ健康第一。土曜日は英気を養うことに徹しています(笑)。日曜日は、弁当に入れるおかずの作り置きをする日。好きなものを詰め込んだお弁当でエネルギーチャージをし、毎日がんばっています。