キャリアストーリーを知る男性研究者のワークライフバランス

研究で行き詰まったときも
わが子の顔を見ると、リラックス

山浦 忠能

大学院生/医学研究科医学専攻 消化管外科

 

がんのメカニズムを研究し
いずれは臨床で生かしたい

消化器官外科の臨床医として10年以上やってきましたが、私の専門は主に、胃がんや大腸がんをはじめとした消化器がんです。がんへの臨床的な側面ではある程度理解はしたつもりですが、基礎的な理解をもっと深めたいと思い、大学院へ入学しました。現在は、遺伝薬理学教室で、大腸がんの遺伝的な背景を研究しています。
消化器がんはがん死亡数の上位をしめていますが、治療を難しくしているのは肝臓や肺など遠隔臓器への転移です。こうしたがんのメカニズムを解析し、いずれは臨床で生かしたいと思っています。

外科医の視点でおむつをチェック
わが家の子どもは10か月。わたし自身が外科医だということもあり、おむつ替えには抵抗がありません。手術中、手袋をして便を除去したり、患者さんの便を診たりと、仕事のなかで経験を積んでいますから……。小児科については、大学の授業や研修医時代に経験していて、専門医のように判断できるわけではありませんが、医者として大きな問題がないかどうかを、わが子の便の状態で診ることはできます。
妻は会社員。育児や家事については、夫婦で話し合ったうえで、お互いできることは自分でやるようにしています。妻の勤務先には育児期間中は時短などの制度もありますが、保育園での送迎は、時間的に難しいので、基本にわたしが担当しています。
京大の保育園で預かっていただく前まで、人見知りの多い子どもでしたが、ほかの赤ちゃんと遊ぶようになったり、大きなお子さんの動きを見てまねるようになったりと、共同生活の良さを実感しています。

妻は産後7か月で職場復帰、夫婦で育児も家事もシェア
臨床医として働いているときは、ほとんど24時間仕事漬けという状態でした。外科医仲間も夜中まで働いていますから、なかなかお子さんに顔を覚えてもらえない、ということがあるようです。わたしは子どもといっしょにいる時間を長くとっていますから、子どもの成長を見られたり、なついてくれたりと、とてもうれしいですね。研究で行き詰まったとき、子どもの顔を見るとリラックスします。
妻は産後7か月で職場復帰しましたが、キャリアを考えれば当然のこと。働く女性と結婚したのですから、今後も応援は惜しまないつもりです。
臨床医の時代も研究室に通ういまも、スケジュールを立ててきっちりやっているつもりでしたが、育児にかかわるようになって、時間を効率的に使う、やらなければいけないことの優先順位をつけるなどの工夫をするようになりました。
日本の職場には、長時間働くことを「よし」とするような雰囲気がありますが、もっと時間を有効活用することで、夫婦で育児の楽しいひとときを共有することも、家族の時間を大切にすることもできるようになると思います。

学内および公的制度やサービスの活用
京大の「保育待機乳児保育園」を探してきたのは、妻です。
産後7か月で職場復帰するためには、安心して預けられる施設が必要ですからね。
風邪をひいたときには、京大病児保育室を利用しています。