MY STORYNo,21
GRADUATE
卒業生
Masaki
Aoki

青木真咲
株式会社Otono 代表取締役社長
経済学部 卒業
大阪府 大阪教育大学附属高等学校池田校舎 出身
静岡の広くて
青い空の下で
リ・スタート。
飾らない、
ありのままの
まちの姿を
届けたい
大学卒業後、記者になって4年めの春。3年間の静岡駐在が決まりました。まさか将来、移住するとはつゆ知らず、静岡のこともあまり知らないまま静岡駅に降り立ちました。でも、そのときまちを眺めて感じた明るさとすがすがしさは、いま思えば、私がこのまちに惚れ込む予兆だったのかもしれません。
静岡の魅力はなんといっても広くて青い空。海辺からは地平線と伊豆半島が一望できて、晴れの日には富士山がドンッとそびえる。静岡に暮らすうちに心が広くなってニコニコしている自分を発見。仕事は楽しかったのですが、せわしなく東京で働きつづけることへの迷いを抱えていると、ふと「記者を辞めて静岡で暮らす」。突然、そんな選択肢が浮かんできたのです。いちどひらめくとワクワクは高まるばかり。「どう考えても悪いほうには転ばない」。その直感に従って飛び込むことを決めました。
青春はアメリカンフットボール一色
京大経済学部を受験したのは、論文入試*(*現在は廃止)があったから。論文試験と数学試験の得点比率の高い入試で、文章を書くことと数学が得意だった私には、一般入試よりも合格の可能性があるのではと……。
再受験のすえに京大への切符を手に入れましたが、勉学はそこそこに、4年間は部活動に捧げました(笑)。なんとなく参加したアメリカンフットボール部の新歓で、「日本一をめざす」という大きな夢をまっすぐに語る部員の姿に心打たれたのです。なにか一つに没頭できる人生最後の機会かもしれないと、アメフト部に懸けることにしました。
マネージャーとして四六時中アメフト部のことを考える毎日。進路を考える暇もないまま、気がつくと就職活動の時期でした。なにもわからないからこそ開き直ってあちこち動いていると、別の新聞社に勤めるアメフト部OBの方から「記者になれば?」と。就活しながら、「私は世の中を知らない」と痛感している最中だったので、社会を学ぶにはもってこいの仕事だとピンときたんです。


同期とは卒業後も旅行に行く仲です。
自然体だから伝わる地域の魅力
静岡暮らしは、記者時代に取材でお世話になった方がたとの出会いに助けられています。現在は株式会社Otonoを立ち上げ、観光地向けの音声ガイドサービスを軸に、地域活性化に取り組んでいます。契機となるプロジェクトに誘われたのも、取材がきっかけ。静岡には多くの観光地・魅力があるのに、それが伝わっていないという嘆きに共感して意気投合。トライアル実証の延長線上で起業しました。社長就任はなりゆきで、メンバーのなかで私だけ本業がなかったからです(笑)。
スマートフォンを活用した、音声ガイドサービス「おともたび」は、地元住民が音声を担当するのが特徴。着想源は実体験で、地元の方とふれあうと旅がいっそう思い出深くなるからです。音声に方言をあえてのこすなど、つくりこんだ観光ではなく、ありのままの地域の魅力を伝えたい。共感いただいた他府県の方からも声がかかり、数十地域に導入いただいています。
地元の方にとって日常の風景や文化のなかに「おもしろい」が眠っています。この〈当たり前〉に価値を見いだすことが観光の役目。発想の転換が必要なとき、思い出すのは京大の変人たちです。当時自分には理解できなかった「変人」たちの姿を思い出しては、人と違うことが価値になる、という世界観を与えてもらっています。
京大合格はたんなるスタート。大学4年間も高校3年間も人生にいちどの大切な時間です。いましかない時間に熱中してこそ、将来の選択肢も広がってゆく。経験はきっと将来、挑戦を後押ししてくれるはずです。

COLUMN

お気に入りの風景
快晴のときの富士山も、夕焼けのときの富士山もどちらも大好きです。
Recommend高校生のみなさんに手に取ってほしい作品

『ちびまる子ちゃん』 さくらももこ 著 ( 集英社)
だれもが知る『ちびまる子ちゃん』の原作漫画。私にとっては、小学1年生のときに生まれてはじめて買ってもらって以来、ずっとそばに置いている大好きな漫画です。なんでもない日常を描いたエッセイ漫画で、舞台はのちに移住することになる静岡・清水。アニメのほのぼのとした雰囲気とまた違い、シュールで笑えて、ときどき泣ける、すごい漫画です。『もものかんづめ』などのエッセイもとんでもなくおもしろいので、人前で読むときは要注意。くだらないことで笑って元気になりたいときに、おすすめです!