MY STORYNo,04

GRADUATE

卒業生

MARUO
MEI

円尾芽衣
エムスリー株式会社
理学部理学科・宇宙物理系 卒業、大学院理学研究科修士課程 修了
兵庫県 神戸女学院高等学部 出身

INTERVIEW

宇宙×医療。
いまはまだ漠然とした夢を
叶えるために

「緩やかな専門化」アドミッションポリシーに感動

生徒会、体育祭に打ち込み、ダンスと書道に夢中だった中高生活。高校2年の夏から1年間、アメリカのウィスコンシン州に留学もしました。当時はいろいろなことに興味をもっていたため、進学先を決めるのにとても苦労し、日本の大学だけでなくアメリカの大学へも目を向けていました。
そんなころ、京大理学部のアドミッションポリシーに記された、「緩やかな専門化」というフレーズに心を動かされ、高校3年生の秋に、京大受験を決めました。中高の先生や親の友人が京大理学部出身だったこともあり、尊敬できる人に出会える期待が高まったことも決め手でした。高3の夏までアメリカにいたので、物理を一から学びはじめたのは秋。とても追いつけるような遅れではなく、現役のときは「男前受験」で京大のみを受験し、結局は京大お膝元の京都の駿台予備校に入学。浪人中には成績が伸び悩んだこともありましたが、予備校からの帰り道はリフレッシュの時間と決めていました。駅までゆっくり川沿いを歩いたり、離れて暮らす親となにげない連絡を取って心を落ち着かせたり、ときには夜空の星や月を見上げたりしたことは、大きな支えとなりました。

チャンスあふれるジャングルのような環境で学ぶ

京大入学後は、思っていた以上に周りのレベルが高くて凹みましたが、代数学や植物地理学など、いろんな分野のエキスパートが同級生にいたのはとても刺激的でした。入学当初、つながりができるまでは一人ぼっちだと孤独を感じることもありましたが、そのうち、「それだけ機会にあふれている」と捉えられるようになりました。チャンスはそこらじゅうに転がっていて、興味をそそられることもたくさん。先輩曰く、「京大はジャングル」(ちょっと入ってみたらとてつもなくおもしろいものがあるけれども、前をすっと通り過ぎるだけだとカオスにしか見えない……)だそうです。
もう一つ、それまでには感じなかった劣等感というものを大学ではじめて感じました。周りがとても賢く見えて、懸命に食らいついていった記憶があります。1回生のころから参加していた「自主ゼミ」ではハイレベルでわからないことが多く、準備中に憂鬱になることも多々ありました。ところが、いつもいやだなと思いながらも参加しつづけるうちに、「いやだな」が少しずつ消えて、「やればできるかもしれない」と思うことが多くなっていました。つづけて取り組み、わかることが出てくればおもしろくなってくるという経験でした。
専攻を決めるにあたっては、理系の学問全体に興味があったので、1回生では数学・物理・化学・地学・生物のすべての分野を履修しました。2回生の終わりには、どの系に進むのか決めなければならず、ギリギリまで迷いましたが、やっぱりいちばんかっこいいと思った宇宙物理学を選択。卒業後もまだまだ学びたかったので大学院に進学し、宇宙物理学のなかでも装置開発の研究室に所属しました。院生時代には、東アジア最大の望遠鏡のある岡山まで天体観測によく行きました。
京大理学部には、すごくハイレベルなものが転がって存在しているだけでなく、いろいろなところに驚きやワクワク感があったと思います。受け身ではなにも起こらないけれど、自発的に動けば、がんの研究者のラボで研究させてもらったり、きのこの専門家と調査をしたり、他大学の研究者と沖縄のサンゴ礁の生態調査に出かけたり、同年代と徹夜で物理実験もしました。海外の研究留学も実現しました。ほんとうにいろいろな機会に恵まれました。

京都大学岡山天文台のせいめい望遠鏡
3回生で経験した微重力実験

宇宙物理学と医療をつなぐ ──未来の可能性は無限大

大学院修了後は、ITを活用して医療の世界を変革するエムスリー株式会社に就職し、マーケティングとデータ分析の部署を兼務しています。現在は、コロナワクチン情報を集約するコンテンツの新設プロジェクトの旗振り役を任されています。入社早々にここまでの経験ができるとは思っておらず、毎日忙しいですが、自分のスキルが増えることが実感でき、仕事がほんとうに楽しいです。
いろんな仕事に携わるなかで、どれも一から学ぶことばかりなのですが、質問すれば先輩たちがていねいに教えてくださり、つねにこちらが求める以上のフィードバックをもらえます。メンターやリーダーとの定期的なミーティングなど、サポートの手厚さもありがたいです。
じつは入社前の面談ではわがままを伝えていました。アメリカでの勤務希望と上記の2部署で働く〈二刀流〉です。他社でも同じことを伝えると、「入社して5年経ったらアメリカで半年くらい勤務できる」と言われたのですが、私としてはもっと早く行きたいし長くいたい。エムスリーはそんな私の希望を真剣に受けとめ、それならアメリカ勤務を前提にしたキャリアパスをいっしょに考えようと提案してくれました。
いまはニューヨークオフィスで働くための準備として、アメリカのオフィスに日本のコンテンツの作成手法の情報提供をする仕事も兼務しています。もともと学生時代は宇宙物理学を学んでいたので、将来、宇宙と医療とがオーバーラップするような仕事、たとえば宇宙旅行がさかんになれば、そこにはヘルスケアも当然必要になってくる。そんな仕事ができたら楽しいだろうなと思っています。

COLUMN 01

こんなふうに勉強していました

センター試験に向けての対策は、年が明けてから2次試験対策の傍ら、センターの過去問を解き、間違えた問題とその背景知識をノートにまとめました。メンタルが結構影響してくるので、自分自身に「大丈夫や、できるで」と言い聞かせ(笑)、セルフ・コントロールしていました。個別試験対策では、数学があまりできていなかったので、浪人中に基礎から徹底的にやり直しました。

COLUMN 02

東京でのすごし方

朝は、スピーカーからテンションの上がる音楽をかけ、身を委ねています。せっかく東京に来たからには東京について詳しくなろうと思い、『街がわかる東京散歩地図(散歩の達人MOOK)』を読んで散歩したり、ハイキングしたり自然ともつきあっています。

MESSAGE高校生のみなさんへ

京都大学には、門さえたたけばあらゆる扉を開いてくれる環境があります。少しでも興味があれば、諦めずにチャレンジしてみてください。浪人生のみなさんは、後がないというプレッシャーに負けないでください。勉強の不安は勉強をすることでしか解決されません。私は浪人時代の友だちと、いまだに仲良しです。いっしょに乗り越えられるよう、刺激しあってください。応援しています。

VOICE上司・同僚からの一言

玉嶋 謙一さんサイトプロモーション グループリーダー

円尾さんはグローバル人材として、新卒1年目から海外のプロジェクトにも参画するなど、将来が期待されているスタッフの1人です。現在はデータサイエンティストとしての専門スキルを生かしつつ、マーケティング部門のプロジェクトマネージャーとして活躍しています。いつも飄々としているクールビューティで、入社早々リモートワーク中心という難しい環境にも関わらず、安定感のあるコミュニケーションとアウトプットを見せてくれています。ものすごいスピードで成長してくれており、上司としてとても頼もしく感じています。