京都大学男女共同参画推進センター / Kyoto University Gender Equality Promotion Center

コラム

大好きなスリランカ。
さらに意義のある研究を積み重ね、成果を発信していきたい

アジア・アフリカ地域研究研究科 准教授/中村 沙絵(NAKAMURA Sae)

  • 国際キリスト教大学教養学部卒業
  • 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了
  • 国立民族学博物館・外来研究員
  • NIHU事業「南アジア地域研究」研究員
  • 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 准教授
研究テーマ:
南アジア研究、文化人類学

やりたいことは諦めない。欲張りな学生時代

中学時代は、父親の転勤でインドネシアに住んでいました。スハルト政権が倒れた時期で、大規模な暴動などを経験し、広く世の中の仕組みのことや、自分とは違う生活をおくる人々の考えや生き方に興味を持ったことが研究者を目指すきっかけでした。昔から運動も音楽も大好きで好奇心旺盛な私。学生時代は女子サッカー部やサンバサークル、大学外のNGOなど課外活動に多くの時間を費やしました。2004年に起きたスマトラ沖地震の時、私はNGOの活動でインドのタミル・ナードゥ州にいました。スリランカの被害が大きく、津波復興支援の一環でその時初めてスリランカを訪問することに。ここでの訪問が大きなきっかけとなり、スリランカの全てに魅了され、スリランカ研究で進学することになるのです。

一つ一つが意味のある出会い。そのすべてが今に繋がっている。

私にとって、忘れられない出会いがたくさんあります。胡瓜の光合成を初め、植物の素晴らしさを教えてくれる生物学の先生。聖書をジェンダーの視点で読む先生。2人の先生の授業はとにかく面白く感心することばかりで、何かを追求することはこんなにも素晴らしいことなんだと感じさせられました。また「私もいつかこんな本を書いてみたい」と思うほど感動した民族誌との出会いもあり、いつの日か研究者を目指す自分がいました。
スリランカ訪問では、人・食べ物・風景などいろんなものに魅せられ、「スリランカに必ずまた行きたい!」と思いました。自分も少し関わっていた津波復興支援についてもう少し考えてみたいという思いもあり、再訪問することにしたのです。そこでは、貧乏旅行でみすぼらしい格好をしている私に「うちに来ていいよ」と優しく声をかけてくださる老夫婦に出会いました。シャワー、トイレ付きの部屋を用意してもらい、なんと毎日の食事までお世話になることに。本当の両親のようにとても親切にしてくださり、私自身も彼らのことを「お父さん、お母さん」と呼ぶようになっていました。私にとってこの方々との出会いが大きく、「この人たちのことをもっと知りたい」と素直に思うようになりました。そこから、高齢者について研究し、老人ホームの民族誌を書くことに至りました。
現在は、スリランカをはじめとする南アジア地域の「老い・病い・死とケアをめぐる問題」を研究しています。地域のことを相対的・総合的に見て、生態系や地理的な特徴、文化的な特性、社会構造等がどのように関係しているのかという地域研究の視点と、文化をもっている人間の社会的・文化的側面を追求する文化人類学の視点から研究を進めています。

調査に協力してくださった方々のためにも、意義のある研究を

私のモットーは、現地の人たちに教えてもらったことを一つ一つ大事に理解し、文字にし、忠実に伝えること。遠回りだったとしても、調査に協力してくれた人たちに何らかの意義ある仕事でお返しすること。現地で調査に協力してくれている人たちにとっても、私にとっても、学術的にも大事な問題を探し続けることです。そして、まずは単著を英語にして現地の人たちに還元し、その後もう一度、長期のフィールドワークをしたいと考えています。
裁量労働なので、子育てしやすい環境ではありますが、やはり日々の忙しさに追われることもあります。そうなると家族も疲れてきてしまうので、ときには全てを忘れ、裁量労働だからこそ、オンとオフをきちんと切り替えられるよう心がけています。NGOでの活動で出会うことになった夫、両親、義両親、姉家族、近所の方々やベビーシッターさんなどたくさんの方々に甘え、助けてもらっています。出産・育児を経て、卒業できるかどうかわからず不安な時もありましたが、強い意志を持って続けてきてよかったと心から感じています。ずっと感謝の気持ちを忘れず、自分のやりたいことを諦めることなくやっていけたら、と思います。


旧友とたまに連絡をとりあう
一緒にたわいのない話をしたり、真剣に悩んだりしていた友人たちが、遠くで知らない生活をしている。SNSもあまり使わず筆不精ですが、たまに連絡をとりあうと、懐かしくも新鮮な気持ちになります。


子どもから多少のブーイングがきても好きな音楽を聴く。
写真は台所においてあるスピーカー。子どものリクエストに応えるときもありますが、基本は自分の好きな歌をかけ、面倒くさい家事を楽しく乗り越えます。

 

 


自分の興味・関心に正直に。面白いと思うこと、不満に思うこと、おかしいと思うことがあれば、その感覚を大切にしてください。周りの友達や家族、先生と共有したり議論したりすることで、広がるものがあるかもしれません。