京都大学男女共同参画推進センター / Kyoto University Gender Equality Promotion Center

コラム

勉強好きがたどり着いた経営学。企業に影響を及ぼすまでの一連の研究

経営管理大学院・大学院経済学研究科教授 / アスリ チョルパン (Asli Colpan)

  • エーゲ大学繊維工学部卒業
  • リーズ大学繊維経営学大学院修士(M.S.)課程修了
  • 京都工芸繊維大学大学院理工学研究科博士(工学)課程修了
  • 京都大学経済研究所 日本学術振興会特別研究員
  • 同志社大学技術・企業・国際競争力研究センター COE研究員
  • 京都大学経営管理大学院 准教授
  • 大学院経済学研究科 准教授同
  • 同 教授
  • 京都大学経営管理大学院 教授
研究テーマ:
多角化したビジネス・グループの持続性:理論的および実証的考察

勉強が好きだったから得た来日の機会。完璧な日本が気に入った

「勉強をしなさい!」。親御さんにそう注意された経験のある方は多いのではないでしょうか。私の場合はその真逆で、子どもの頃は宿題をするの一番の楽しみ。時には「何時まで勉強しているの!」と怒られるような、珍しいタイプの人間でした。得意だった科目は、数学、化学、物理学。ロジカルに考えれば答えを導き出せるところが面白く没頭しました。
その志向は成長しても変わらず、大学で選んだのは繊維工学。工学の中でもなぜ繊維?と、聞かれると当時は人気分野でしたし、また今から考えると恥ずかしいのですが、好きだった子の希望進路だった、というのが理由の一つでした(笑)。きっかけは不真面目だったけど、入学してからは真面目に勉強を頑張りました。そのおかげで、成績優秀者だけが選ばれる、日本の繊維工学関連企業へのインターンメンバーになることができました。
これが私にとって最初の海外体験。初めて訪れた外国が日本でした。一定期間過ごしてみると、電車は時間通りに来るし、やるならやる、やらないならやらないとはっきりしている。ある意味完璧なシステムが出来上がっている社会で、完璧を求める私の性格によく合っていると思いました。その後、一度はインターン先の企業に就職することを希望したのですが、働くなら日本語ができないとダメと言われ……。まだ勉強したい気持ちもあったので、奨学金を申請してリーズ大学の修士課程、京都工芸繊維大学の博士課程に進むことにしました。

自分で掴み取った経営学研究の道。いつも論文の先を見据えて

経営学に出会ったのはリーズ大学にいた頃。当時の工学の授業はすでに知っていることが多く、もっと新しいことを学びたいと思っていた矢先に見つけました。みんなが競い合って勉強していた環境も肌に合って、途中からはすっかり経営学の虜になりました。どちらの大学も奨学金は工学で申請していたのですが、リーズ大学の時は熱意で認めてもらい、京都工芸繊維大学の時は、学内に経営学の研究科がなかったので、工学研究科に所属しながら京都大学の特別研究員になる。という形にたどり着きました。
現在、研究しているテーマは、簡単にいうと企業戦略と企業統治。多角化するビジネス・グループ̶̶例えば自動車を造ると同時に、ファイナンスや化粧品の分野も手がけている企業が、どういう成長の仕方をしたのか。なぜそれほどまでに多角化したのか。ということを、企業史から考察したり、役員の報酬のあり方が、その会社の業績とどう結びついているのか。などを計量経済学の手法を用いて分析したりしています。
経営学というのは、企業活動全般を研究する学問です。その性質的に、論文を出して終わりというわけにはいかないので、企業に行って発表するとか、社外役員として結果を出すなど、何らかの形で企業に影響を及ぼすところまでが、一連なのだと考えています。また、私は海外のビジネス・グループを中心に研究しているので、国際的なトップ雑誌などで成果を発表することも、常に心がけている姿勢の一つですね。出版した書籍がハーバードビジネススクールから認められ、2016年から1年間、客員教授として迎え入れられたことは、とても嬉しかったことです。


バランスを取るために必要な二つの大切な時間。
リフレッシュしたい時は、少しでも外にお出かけ。お気に入りの場所は近くの公園のスタバと大学の研究室です。コーヒーを片手に子どもと過ごす時間も、研究室で一人になる時間も両方大切!にしています。


研究のお供はメロディアスなクラシックミュージック。
本当はクラシックコンサートに行くのが大好き。子どもが幼い今は難しいので、スマホに入れた音楽を楽しんでいます。研究中によく聴くのは、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」。

 

 


今のうちから、好きだと思えることを勉強してください。それは自発的なものでも、周囲からの指摘で気づいたものでもいい。自分が本当にやりたい!と思えることが見つかれば、もっと深く知りたくなるはずです。極めるために集中すれば、研究者としてきっと成功できるし、好きなこと=仕事になれば、楽しい人生になります。別の道に進んだとしても、その経験は必ず自身の成長に繋がると思います。