京都大学男女共同参画推進センター / Kyoto University Gender Equality Promotion Center

コラム

救命のスペシャリストとして、研究者として、少しでも多くの命を救いたい

医学部附属病院麻酔科 助教 / 加藤 果林 (KATO Karin)

  • 京都大学医学部卒業
  • 西神戸医療センター 初期研修医
  • 倉敷中央病院 後期研修医
  • 医学部附属病院麻酔科医員
  • 同大学院医学研究科博士課程修了→医学部附属病院麻酔科 助教
研究テーマ:
周術期における感染症制御

「麻酔って魔法だ!」 感動して選んだ麻酔科医としての道

医師を志したきっかけは、私自身が幼少期に病弱で、病院にかかることが多く、加えて、母から働きながら家庭を持つことの大変さを聞かされ、手に職をつける必要性を感じたからです。その進路を明確に決めたのは、中学3年生の時です。実はその頃、小学2年生から始めたバレエにどっぷりハマっており、バレリーナになるか医師になるかで本気で迷っていました。そんな私に道を示してくれたのは、当時の担任の先生。「長く続けられる職業の方がいいんじゃないか」というアドバイスを受け、バレエを続けながら、指の皮がめくれるほど猛勉強して医学の道に進みました。
私は麻酔科医なのですが、初めて麻酔をかけるところを見た時、魔法だ!と感動したのを覚えています。例えば、自分で意識して片方の肺だけ動きを止めることはできませんよね。しかし、麻酔科医の手にかかれば、いとも簡単に片肺だけを換気させることができます。下半身麻酔にしても、脊髄のココ! というところにわずかな薬剤を投与するだけで、下半身の神経のみをブロックさせてしまう技術はすごいことだなと思いました。

課題は臨床と研究の両立。限られた時間の中でできることを

それを実感したのは研修医の時。麻酔科の仕事は、大きく分けると三つあります。手術室での麻酔、重篤患者の呼吸・循環などを保つICUでの全身管理、痛みを取り除くペインクリニックです。あらゆる科の患者に対応する必要があるため、麻酔科医には正確な技術に加え、幅広い知識も求められます。患者の体のことはもちろん、術式や薬剤、呼吸に循環、脳神経と、全てを理解していないと務まりません。また、手術時には司令塔としてチームをまとめるため、緊急時であっても冷静さを失うことは許されません。職人であり、救命のスペシャリストでもある。それが麻酔科医なのだと思いました。
それに気づいて以来、麻酔のことなら何時間でも話せる! というほど、麻酔科医の仕事が好きになった私。夢を叶えた今、とても幸せなのですが、臨床や育児に追われて研究の時間が十分にとれないことを課題と感じています。私の研究テーマは、周術期(手術中だけでなく前後を含めた一連の期間)における感染症制御。頑張って手術を成功させても、術後、感染症によって命を失ってしまう場合があります。手術をすると、体力や免疫力がどうしても低下してしまうので、感染症を完全に防ぐことはできません。しかし、そのリスクを軽減させ、なるべく多くの命を救いたい……。
それが、このテーマを選んだ理由です。限られた時間しかない中、少しでもできることをと考え、現在は自称「手指衛生の声かけリーダー」を務めています。周術期の手指衛生を徹底するという簡単なことで、感染症のリスクは大幅に下がるということを示したいと思っています。


休みの日は料理三昧!子どもたちへの愛情が原動力。
休みの日はご飯の作りおきをします。子どもたちに食の大切さを伝えたいし、食物アレルギーもあるので、安全安心の手作りご飯を食べさせてあげたい! 私なりの愛情と時短術です。


進路を迷うほど愛したバレエ。いつか息子と踊りたい。
幼少期から熱心に打ち込み、一時は本気で夢見たバレリーナへの道。今は踊れていませんが、上の息子も2歳の時からバレエ教室に通い始めました。いつか一緒に踊る日を夢見ています。

 

 


麻酔科は比較的女性の比率が高い科です。オンオフが明確なので定時で働くこともできるし、扱う薬剤がシンプルなので、病院が変わっても働きやすい。簡単なことではありませんが、周囲の理解と強い意志があれば、キャリアアップも目指せます。いろんなところで壁にぶつかるかもしれませんが、あなたと一緒に悩みを共有して、助け合ってくれる仲間が必ずいます。そういう人との出会いをぜひ大切にしてください。