京都大学男女共同参画推進センター / Kyoto University Gender Equality Promotion Center

コラム

留学先で「今」の研究テーマに出会う
夫婦で精子幹細胞の研究に取り組んでいます。

二人は、精子を作り出す源となる精子幹細胞の研究に取り組んでいます。これまでに、マウスの精巣から採取した精子幹細胞を試験管内で増やす長期培養系を確立したほか、新しい遺伝子改変動物作成法の開発などを行ってきました。

医学研究科 教授 篠原 隆司

京都大学医学部で免疫学を学ぶ。卒業後、米国ペンシルベニア大学に留学し、精子幹細胞の移植・増殖法を研究。帰国後、医学研究科助手、先端領域融合医学研究機構特任助教授を経て、医学研究科教授。

医学研究科 助教 篠原 美都

京都大学医学部で発生学を学ぶ。卒業後、米国ペンシルベニア大学に留学し、卵の受精や初期発生を研究。帰国後、医学研究科研究員、先端領域融合医学研究機構特任助手を経て、医学研究科助教。

今の研究テーマを選ばれたきっかけは?

隆司 アメリカのペンシルベニア大学におられるブリンスター博士が、精子幹細胞の移植法を開発されたのがきっかけです。それまでは免疫学を学んでいたのですが、ブリンスター博士のもとへ留学し、生殖細胞の研究に転向しました。その理由は、生殖細胞が生体の遺伝という重要な現象を担う細胞であるにも関わらず、実体があまりよく解明されていなかったこと。それに研究者人口が多くないという点で、「未来がある、おもしろそうだ」と感じたからです。
美都 わたしはもともと生殖工学に興味があり、初めは卵子の研究をしていました。主人とは学部が違うのですが、わたしもペンシルベニア大学に留学していて、シュルツ博士のもとで卵の受精や初期発生の研究に携わりました。ですが、歴史の長い卵の研究領域に限界を感じ、帰国後、オスの生殖細胞の研究に転向しました。

二人で研究しているメリットは?

隆司 言いたいことが言い合えて、コミュニケーションがとりやすい点ですね。
美都 突っ込んだ議論もしやすいので、研究の効率という面で、かなり恵まれていると思います。自宅の食卓で研究の話をすることも、日常的によくあります。

研究もプライベートも二人で乗り越えて

お互いの尊敬しているところは?

隆司 彼女は非凡な集中力の持ち主で、周囲の音が聞こえなくなるタイプ。そこがすごいと思います。
美都 でも、たぶんわたし一人では、ここまで研究を継続できなかったでしょうね。主人の研究に対する情熱はすごい。24時間ずっと研究のことを考えていますから。わたしが研究を続けられているのは、主人が次々に新しいアイデアを提示してくるからだと思います。
隆司 それでつい、あれもこれもと彼女を急き立ててしまって・・・。ですが、ケンカはしないですね。論争になっても、たいてい彼女の言うことが正しいですし(苦笑)。

二人にとっての記念碑的な研究成果は?

隆司 マウスの精巣から採取した精子幹細胞を試験管内で増やすことができた成果です。そのときは研究も一番忙しかったし、ちょうど子どもが生まれたばかりで、プライベートでも大変なときでした。そうした目まぐるしい時期を、お互いに作業や時間を融通し合って乗り切れたことも、大きな思い出になっています。
美都 大学院生のとき、「出産や育児は研究に支障をきたす」とアドバイスされ、わたしなりに悩みもしました。それで、子どもをもつにあたって、いろいろ対策を考えたけれど、結局それらは役に立たず、その場その場で局面を乗り切った感じ。案外ちょっとしたことで、道は開けるものです。

今後の目標を教えてください。

隆司 生殖細胞のすべての機能を、試験管内で再現することです。
美都 基本的にはわたしも同じ。試験管内で精巣をもう一度作ることが目標です。もともと試験管内で何かを操作することが好きだったので、その点でも、主人と興味が一致していると思います。