京都大学男女共同参画推進センター / Kyoto University Gender Equality Promotion Center

コラム

女子よ工学部に来れ!
京大はいろんなチャンスに恵まれている

永原 静恵 NAGAHARA Shizue

大阪府 四天王寺高校 出身
工学研究科博士後期課程 修了
日産自動車株式会社

物理化学とパソコンの面白さに目覚めて工学部を志望

私は大学で工学部の電子工学科に入りましたが、中学生の頃は暗記する理科が苦手でした。しかし高校の授業では、どうしてこの現象が起こるのか、その現象はどんな物質に由来するのか、という理論が学べるようになったため、逆にとても面白く感じ、大好きな科目になりました。京大を目指し始めたのは高校2年生の頃です。中学の頃は、京大は私には難しいと思っていましたが、理系の勉強が楽しくなってからは成績も伸び、挑戦してみようと思いました。
また、進路を考える際に影響を受けたものとして、高校の進学祝いとして両親がプレゼントしてくれたパソコンの存在もあるかもしれません。これからの時代には必要だろうと与えてくれたものでしたが、当時は情報系の授業もなく、質問できる人もいなかったため、セットアップやインターネットの設定など、すべて自分で行いました。用途としては、ネットサーフィンをする程度でしたが、楽しんで触っているうちに、いつしか情報やパソコンの構造自体にも興味を持ち、工学部への進学を考えるようになっていました。

電子工学科に入って遭遇した二つのカルチャーショック

京大は理系の研究が盛んなので、いろいろと学んでいくうちに、将来像が見えてくるかもしれない。そう期待して入学した私の大学生活は、二つのカルチャーショックから始まりました。最初に驚いたのは女子の少なさです。私が入学した年次は、電気電子工学科130人中、女子はわずか7人。一般教養などの授業は3クラスに分かれて受講しましたが、入った私のクラスに女子は私一人しかいませんでした。女子校で育った私にはそれが衝撃的でした。今となっては微笑ましいのですが、初めは男子と距離を探り合うような生活が続きました。
そしてそんな環境にも慣れた頃、私をもう一つの衝撃が襲いました。一般教養の理系科目が難しすぎたのです。よく、大学になるとでは数学は哲学になるといいますが、まさにそのとおりで、授業中に幾度となく先生が一人で数字の宇宙に旅立たれたような感覚を覚えました。これには一時的に転学を考えるほど悩みました。しかし、そんな状態でもテストの点数は取れたことテストでは何とか合格ラインだったこと、そして年数を重ねていくうちに専門の授業が増えたことで面白くなり、乗り越えることができました。

大学院にはさまざまなサポートが用意されている

京大工学研究科には、大学院に入る際に博士課程まで進むことを決めたら、院試が一部免除されるうえに、成績順で選択権を得る研究室の配属も優先的に決めることができる連携プログラムがあります。実は、私が博士まで進んだのは、そのお得なシステムに乗っかってみようと思ったからです。
当時、私が研究していた内容は生体機能工学といって、人間の体、特に脳神経系の機能を計測・解析することです。例えば、脳の画像を連続的に撮ってコンピューターの解析にかけることで、脳の活動を測ったり、病因の発見に繋げたりできないか、というような研究です。工学のもの作りの面から、医療の発展に貢献したいと考えたのです。
在学中は短期留学も経験しました。大多数の大学は、学会への参加や留学にかかる費用を自費でまかなうことがありますが、京大の場合、大学や研究室でサポートしてもらえるのが主流です。留学プログラムも、政府や一般企業による金銭的な補助付きの案内も多数あり、自分が行く気になれば機会を得ることができます。これだけチャンスが豊富なのは、京大だからこそだと思います。

難しいからこそ面白い。
改めて感じるもの作りのやりがい

就職に際しては、研究者という選択肢もありましたが、しかし考えた末、私は研究成果を発表するだけではなく、その成果を使って実際に機械を開発するところまでがやりたいのだと思い至りました。私が就職先として望んだのは、MRIなどの医療機器を開発している企業、もしくは、人の動きや様子を計測して機械と連動するもの作りができる企業でした。日産自動車では、運転者の脳波をセンサーで測り、その状態に合わせた運転サポートができないかという技術を研究しており、私はぜひともその開発に関わりたいと思いました。
就職した当初、配属されたのは、カーナビなどIT部品の開発をする部署でした。希望した研究そのものではありませんでしたが、車の知能化という目的は同じでしたし、常に新しい技術に触れることもでき、とてもやりがいがありました。今は商品企画という部署に移り、作る立場から提案して作ってもらう立場にいます。企画を実現するために情報収集をしたり、開発側に調整をかけたりと、新しいものを0から作るのは難しいですが、難しいからこそ面白いと感じています。

将来の夢

利益という目線にも挑戦

より良い未来に向けて商品や開発を行っているのですが、やはり会社である限り、利益を追求するという課題があります。新しい技術に挑戦したくても、夢のある企画を提案しても、そこをクリアしなければ、まず作ることができません。ここは研究者の道とは違うところだと思います。キャリアを積む中で、そういった会社のシビアなところが見えてきたので、いつかその世界も覗いてみたいと思っています。


女子の皆さん、ぜひ工学部に来てください。工学部の実験や研究の大多数は、最終的にものを作るというところに繋がっています。もの作りで成り立っている日本という国に自分が貢献できるというのは、やはり魅力的なことだと思います。いろんな不安もあると思いますが、皆さんが思っている以上に、工学部系の女子に対して大学や社会はウェルカムです。